
大腿骨頸部骨折センターは、転倒による股関節骨折からの早期回復をはかるため設立した専門のセンターです。
現在、日本は超高齢社会にあるといわれています。
医療技術の進化や予防医療の発展により、平均寿命は大きく延びていますが、それに伴い高齢者の転倒による骨折などの外傷も急増しています。
若いころであれば「転んだくらいで大したことはない」と思いがちで、実際に軽いけがで済むことが多いでしょう。
しかし高齢者の場合、些細な転倒がきっかけとなり受傷するケースが増えており入院を余儀なくされることも少なくありません。
結果的にそれが心身の老化を進ませることにもなります。
また、特に下肢の骨折は長時間のリハビリを必要とするため、心肺機能や筋力の衰えをまねき廃用症候群を引き起こすなど生命予後に深く関わる重大な問題となってしまいます。
当センターでは、この大腿骨頚部骨折症例の増加傾向にともない、手術症例に対し術式やリハビリテーション・看護体制の標準化を行っております。
早期治療が回復の鍵となることから、原則として48時間以内に適切な手術を実施する体制も整えております。
さらに、常勤の外科医師が多数在籍しており全身状態の把握と管理をチームで行っています。
センター全体で患者さま一人ひとりに合わせた丁寧な医療を提供し、十分なリハビリを行いながら回復をサポートしています。
大腿骨頚部骨折は股関節に近い部位の大腿骨骨折です。
外傷などで起こる骨折であり、股関節を包む靭帯(関節包)の中で生じます。骨頭部分に血流の障害が生じ保存治療では骨の癒合が困難です。
「高齢者が転んで立てなくなった」「なんとか立てるが、体重をかけると股関節が痛い」「股関節を動かさず、動かそうとすると痛がる」
こんな時には大腿骨頸部骨折ではないか?と疑ってください。直ぐに救急車、または病院に連絡を入れましょう。早期発見がとても大切です。
また、転倒による骨折については、その転倒方向により受傷部位をほぼ推定することができます。
前方への転倒では手首(橈骨遠位端)、肩(上腕骨頚部)の骨折、後方やしりもちでは脊椎圧迫骨折、そして側方では股関節(大腿骨頚部)骨折が考えられます。
転び方により「もしかしたら骨折かもしれない」と疑うことも必要かもしれません。
これらの中で脊椎圧迫骨折と大腿骨頚部骨折は、長期加療が必要となります。
大腿骨頚部骨折はこのように手間のかかる骨折ですが、治療法は確立されています。
一般的には人工骨頭に入れ換えることが多いです。また、骨折の型や年齢や全身状態を考え、骨接合術を選択する場合もあります。
骨折後治療が遅れると合併症が生じ、全身状態が悪化してしまいます。
なので、なるべく早期に治療することが大切です。
治療は骨折の部位や状況により、また手術が原因で命にかかわる可能性がある場合などには、保存療法(日常生活指導・薬物療法・理学療法・装具療法)も選択肢としてはあります。
しかし基本的には、不全骨折を含めて観血的治療(手術)が推奨されています。
手術は骨同士を金具で固定する骨接合術や、大腿骨頭を取り替えてしまう人工骨頭や人工関節手術などがあり、医師の診断によって決定します。
当院では、手術後は早期にリハビリを開始します。
早期のリハビリは、寝たきりにともなう認知症の進行、関節の拘縮(固くなること)、筋力低下、免疫機能低下、その他多くの合併症を防ぐ目的もあります。
また、受傷から寝ている時間が長くなると、全身の筋力、心肺機能が低下し全身の廃用症候群を引き起こしてしまいます。
そういった理由からも、骨折後の歩行能力は一般的には受傷前より落ちてしまうこともあり、歩行訓練は早くから始めるのが良いのです。
理学療法室(理学療法士・作業療法士が在籍)では、骨折部位だけでなくこのように全身状態に関しても考慮し、医師の診断のもと、術後早期より筋力強化・早期離床を促し早期退院を目指します。
患者様一人ひとりの受傷以前の生活を尊重し、それに応じた治療目標を設定します。専門スタッフがチームで連携し、丁寧な医療と十分なリハビリを通じて、以前と同じような生活が送れるよう回復をサポートします。

| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 午前 | 田中 伸弥 | 田中 伸弥(~10:00) | 高田 秋人 佐野 陽亮 | 田中 伸弥(第2~5週) 石神 等(第1週) | 高田 秋人(~10:00) 松木 健一 | 担当医 |
| 午後 | 高田 秋人 | 田中 伸弥 張 英士(第1,3,5週) 小田 修平(第2,4週) | 高田 秋人 石神 等(第1週) | 高田 秋人(第1,3,5週) 田中 伸弥(第2,4週) 松木 健一 | 担当医 |


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